志賀直哉本人が、社会的正義感や結婚を反対されたことなどで、実父と不仲だったが和解することが出来たことで生まれた小説。この作品では、不仲になった原因ははっきり記されてはいません。フィクションではありますが、作中に親子間の不和を主題にした小説を書こうとしては躊躇する主人公がいたり、志賀直哉の心の葛藤が伺えます。
主人公は、封建社会の時代よろしく、奥さんにつらく当たって泣かせてしまったり、短気な様子ですが、初めての赤児が病気になったときなど、医者や近所の人たちが自分事のように奔走してくれたり、父親との確執に対して友人、親戚みんなが心配していたり、配慮をしてくれたりで、仕方なくなっていた不調和が、必要から和解に至るまでを見守りつつ導いている美しい関係性に、伝統的な日本の家族を見る思いがしました。
みーちゃんさん 57歳 男性





