英・仏・独・伊・韓国語にも翻訳されています。

私は「甘え」の正体を知りたくて読みました。

欧米には「甘え」という単語はなく、
フロイトなどが「同一化」を表す単語を用いています。

「甘え」という単語が存在しないので、日本でいう
「甘え」という感情を自覚したり理解したり出来ず、
「あなたは自分の感情のコントロールが出来ていない」
と表現する女性の例が書かれています。

日本での「甘え」を著者の土居健郎氏は、一つの
集団への依存や受身的愛情希求(つまり愛されたい)、
一体化、独占欲といった言葉で置き換えています。

欧米では、個人の自由といっても個人が個人のままで
自由なのではなく、所属集団と本来関係のない別の集団に
参加することで、はじめて自由を獲得する。

つまり日本のように一つの集団に依存せず、
然るに神に依存しているのではないか。

半世紀以上前に書かれた本なので、現代の日本人は
マルチに活躍したり、独立して起業する人も
増えているので、最近「甘え」という言葉をあまり
聞かなくなりましたが、脳科学の研究が進み、
脳の伝達物質の一つのオキシトシンが、
コミュニケーションやスキンシップなどで活性化され、
互いに幸福感を感じるといわれています。

しかしこれは、相互に合意がなされたものに限られ、
著者のいう「甘え」に完全に合致はしない。

むしろ、一定の力を持つものが支配欲を武器に、
我儘に相手を操ろうとすることが、現代においても
「甘え」と言えるかもしれない。

みーちゃんさん 53歳 男性