文学者の荒井裕樹さんの渾身の一冊。言葉は空気を震わせてそして消えていってしまうものだから、メモを取るなどして残したいと願うものだ。だが一方で、言葉は何度も使われて積み重なることによって定着していく。文学者としては、よくない使われ方によって社会が悪化する言葉を見つけて警鐘を鳴らしたり、言葉を軽んじて(息を吐くように嘘をつく)ことで言葉が破壊されていく現状を悔しがっている。また本来あるべきなのに適切な表現がないことを見つけ出し、言葉を与えようとしている。穏やかにスリリングな本。

poohさん 55歳 男性