すでに、藤原正彦『本屋を守れ』をご紹介しましたが、似て非なる本です。
著者は、歴史小説を得意とし、2022年に『塞王の楯』で直木賞を受賞した今村翔吾さん。
私は歴史小説は、ほとんど読まないのですが、彼が書店を引き受け経営し、
神田神保町にも、新たなシェア型書店「ほんまる」を開いた人物であることは知っており、
見学もしてきました。
しかし、この本を読んでびっくり。本への本気度は、並大抵のものではありません。
作家業を続けながら、2021年、大阪箕面市の「きのしたブックセンター」を事業承継、
「九州さが文学賞」受賞で縁の深い佐賀県に2023年、佐賀之書店(JR佐賀駅構内)
を新規開店、
そして2024年には、デザイナーの佐藤可士和さんの支援も得て「ほんまる」をオープンさせるのです。
その心は、書店を守るためには、書店のことをもっと勉強しなくてはならない
という思いが一番大きかったようです。
そして、書店と図書館の根深い対立も知り、
その解決策として2026年に展開しているのが「本の甲子園」です。
これは、自薦エントリーで都道府県別の代表本を決め、トーナメント形式で対戦し、
日本一の作品を決めようという文学賞で、キモは、図書館員が選考するということ。
これにより、書店でも長期間フェアを展開してもらい、図書館に売り上げを奪われているのではなく、
図書館が地元の書店に貢献していることを感じてもらうことを狙っています。
ここまで業界の問題を理解し、その解決のために実践している作家は、
いまだかつていなかったのではないでしょうか? 以上は、彼の活動のほんの一部で、
さまざまな読書推進活動を展開する「一般社団法人 ホンミライ」、
地域おこし協力隊制度を活用した「秘境の文筆家」、
出版社が直接指名する「日本ドラフト文学賞」などなど、
その企画力・行動力には舌を巻きます。
まえがきにも、「『書店を守れ』は・・・自身を鼓舞させるために、
自らに命じている言葉である」と書かれています。
私個人も、地元横浜市旭区で、10年以上さまざまな読書推進活動をしてきましたが、
最近ちょっとマンネリ気味。もっと新たな試みにチャレンジしなくてはと力をもらい、改めて意を強くし、
100本近くたまったこの書評の冊子化をすすめています(2026年10月完成予定)。
tomeさん




