ずっと長い間本棚にあった本を、
手にとって読んでみました。

裏表紙には弟の名前がマジックで
はっきりと書かれています。

出版は1971年で弟が3年生か4年生の時の
読書感想文コンクールの課題図書でした。

当時、弟がこの本を読んで読書感想文を
書いたのかどうかはわかりません。

2歳違いの私と弟の子どもの頃の本はとっくに
処分してしまいましたが、この1冊だけは
本棚に残してありました。

ウクライナの戦争が現実に起きている中、
思い切って手に取って読んでみました。

今読むと、心にずしんと響きます。

厚い本ではありませんが、原爆のむごさに
一気には読めず、ちょっと読んでは休み、
また読み続ける感じで読みました。

長崎の人たちの現実が身近に
感じられるように書かれています。

家族や街を失う悲しみ、そして、その中で
生きていく子どもの力強さ、人たちの営み、
やはり読み継がれていかなければならない本だと
思いました。

父は戦地にはいきませんでしたが、学童疎開、
空襲を目の当たりにした戦争体験者です。

友達を失った話を聞いたばかりだったので、
きよしやきぬえの姿が私の中で重なりました。

おおえひでさんの文章は、悲しくもありますが
あたたかく、優しくて、こわがらずに
また何度か読んでみようと思いました。

小学生にも大学生にも読んで欲しいと思います。

北嶋寧子さん 62歳 女性