30万部突破した話題作なので、すでに読まれた方も少なくないと思います。

なぜ『世界でいちばん透きとおった物語』なのか、それはネタバレになるので書けませんが、
正確には3つの仕掛けが組み込まれています。
ひとつは、本書にも登場する京極夏彦さんがすでにされていることで、
この本をきっかけに知りましたが、
他の2つは本書オリジナル。
紙の本、それもたぶん文庫本でしかできず、電子書籍化は絶対不可能な仕掛けです。

読み物として十分秀逸ですが、
それ以上に、やはりその仕掛けには驚かされ、感動すら覚えます。
執筆・制作には根気を要し、誰にでも真似できる芸ではありません。

ひとつだけ、誰もほとんど触れていない他のネタというか謎ばらしを、してしまいます。
本書の巻末に「僕の生涯で最も激しい驚愕を伴う読書体験を与えてくれた、
A先生に捧げる」と謝辞が書かれています。
私は、このA先生が誰なのか気になって調べまくったところ、
泡坂妻夫(あわさかつまお)であることが判明しました。

名前は知っていたのですが、どんな人でどんな作品を書くのか、やはり知らなかったので、
さらに調べたところ、その人と作品の特徴を知るに至り、激しく納得。
私淑にせよ「この師にしてこの弟子あり」とつくづく思いました。
いや、完全に「出藍の誉れ」です。

tomeさん