この本を読んだのは25年前、本が出版された翌年です。購入のきっかけは全くおぼえていないのですが、心にズーンとくる印象深い本でした。本の整理をするたびに手放そうかと迷いつつ、何故か手元に残ってここまできました。

天才ヴァイオリニスト渡辺茂夫さんにまつわるドキュメンタリーで、ぐいぐいと引き込まれるのです。まだ子どもと言っていいひとりの少年が7歳でリサイタルデビュー、しかも時代は戦後間もない昭和23年。想像を絶する努力の天才は、アメリカに渡ります。アメリカでの生活は困難であり孤独であり、悲しい事件がありますが、音楽家としてだけでなく、人の生きる道、魂の叫びに感動をおぼえます。

書中に有名な音楽家の名前がたくさん出てくるのは興味深いことでした。読後、自分の音楽への対し方に変化があったと思います。音楽家の人生は半端なことではないのだと、応援したい気持ちになりました。

sukoさん 62歳 女性