ご存命の作家さんの中で一番好きな作家さんの新刊です。文庫本で読みましたので、漫画本の方は知らないのですが、花とゆめで有名な漫画家さんの羅川まりもさんとタッグを組み漫画本としても出版されているので、そちらでも楽しめるかと思います。

面白い設定のストーリーです。主人公はなりそこないの吸血鬼と孤独なエンバーマーです。吸血鬼という設定で現実離れしたフィクションか~という感じではありますが、昔から吸血鬼を扱った伝記やら映画やら沢山存在しますし、案外人間に紛れて吸血鬼が存在してもおかしくないのでは、、と夢を抱かせてくれるようなストーリーだと思います。7巻の内5巻目は番外編でエンバーマー彬の哀しくも切ない生い立ちが描かれています。本当にこの作者はウィキペディアで「芥川龍之介の再来」とまで書かれている程に人間の深層心理といいますか、心の中の闇をとても繊細に描く天才でいらっしゃると思います。ひどい環境で生れ育った彬が、それでもとても純粋で思いやりの塊のようなお人柄で、、何とも心を締め付けられるような展開です。登場人物でクズ中のクズも何人も登場しますし、
嫌な気持ちにもなるかと思いますが、かなりの名作だと思います。

さくら咲くさん 48歳 女性