精神科医の小此木啓吾による著作です。

1978年に出版された古い本ですが、この一冊ほど、
日本人のマインドセット(基本的行動価値)について
的を得て説明している書籍はないではないかと思います。

本書で説明される「モラトリアム人間」とは、
当事者意識を持たず責任を自らに課さない人間の
ことであり、本来であれば勤労学生など、
社会活動を始めるまえに許されるモラトリアム
(猶予期間)を有する人物を指しました。

しかし現在では、成人になっても
モラトリアムから脱却できない人が多いといいます。

モラトリアム人間は社会の当事者となることを避け、
あくまでも俯瞰者として存在します。

例えば、モラトリアム要素をもつメディアは
第三者の立場で当事者について批評を加えています。

SNSで社会批評をする人や自粛警察として
社会正義を掲げる人の中には、あくまでも自分は
問題の部外者として距離をおくモラトリアム人間が
いる現実も正確にこの本は説明しています。

この本を読んだ自分も、モラトリアム人間に
ならないよう、積極的に社会課題に参画し、
自ら活動する人間になりたいと思っています。

是非、日本の社会事情に関心がある方に読んでほしい書籍です。

カントさん 32歳 男性 大学教員