「30年に及ぶ『日本人総奴隷化計画』が今まさに完成しようとしている
-私は本書の中で大真面目に書いています」。
こう始まる本書は、2025年1月28日に66歳で亡くなった森永卓郎さんの
晩年の主張のまさに「総集編」とも言えます。
すでに出版し話題となった『ザイム真理教』や『書いてはいけない』についても言及されています。

森永さんの本は、以前『ザイム真理教』をご紹介しましたが、本書ではその内容も含めて、
1985年の日航機墜落事件とプラザ合意の謎から始まり、小泉内閣がやってきたこと、
財務省がやってきたこと、安倍内閣が財務省に抵抗しつつも財務省による?
スキャンダルリークに屈伏してしまったこと、そして、富裕層はますます富み、国民は
「年金を当てにせず死ぬまで働け」と「奴隷化」に突き進んでいることを描き出しています。

当然、新NISAなどは「地獄の入り口」と、バブル終焉への警鐘を鳴らします。
これに対して、森永さんは、脱奴隷化のための「一人社会実験」と称し、
コロナ禍をきっかけに、すでに始めていた農業体験を地元の「トカイナカ」である所沢で本格化。
マイクロ農業を始めることで、近所とのコミュニケーションも豊かになり、
「資本主義の論理」とは無縁に、
年金相当の月13万円でも夫婦で十分暮らせることを実証したのです。

原発不明ガンによる余命宣告を受けたことで、
残りの人生で一切の忖度はしないと心に決めた森永さん。
やりたいことはすべてやる。書きたいことはすべて書くと、
没後も含めわずか2年ほどの間に20冊の本を出版しました。

童話作家になりたかったことから、寓話もつくり(20冊中3冊は寓話の本)、
落語も弟子入りし、歌手デビューも目指すなど、まさに完全燃焼。
2014年に開館したミニカーほか13万点もの雑多なコレクションを展示する「B宝館」も、
「昭和100年」を迎え注目を集めており、
次男でITエンジニアの桜城蘭さんが引き継いでいます。

どぎついタイトルで、陰謀論と誤解されそうな本ですが、
実は冷静かつ公平に現実を分析し、庶民視線から真実を解き明かしており、
一読に値する本だと思います。

tomeさん