文章を読んだり書いたりするためには豊富な語彙が必要です。映画の字幕を手掛ける戸田奈津子さんも、一にも二にも語彙が必要だと言っていらっしゃいます。
語彙を増やすために手にするのが国語辞典です。しかし、国語辞典というものは、言葉を調べるときに使うだけです。そんな国語辞典の中で、一風変わった辞典があることを教えてくれるのが、この本です。
対象となるのは、三省堂「新明解国語辞典」です。どこが面白いのか具体的に紹介しています。
「ばか」の説明では、「記憶力・理解力の鈍さが常識を越える様子。また、そういう人。」とあります。そこまでは特に変わった点はありません。ただ、ここからが新明解の優れたところです。「人をののしる時に一番普通に使う語。公の席では刺激が強すぎるので使わない方がいい」と続きます。さらに進化して、「身近な存在に対して親しみを込めて使うことも有る。例、「あのばかが・ばかばか《女性語で相手に甘える時の言い方》との説明も加わっていると指摘しています。
このように、面白さがどこにあるかを例を挙げながら紹介した一冊ですが、この本のお陰で国語辞典に親しみを感じて、時間があると「新明解国語辞典」を読んでしまうクセがついてしまいました。語彙を革命的に増やすことができたかどうかは定かではありませんが、少なくとも国語辞典を身近に感じ、使いこなすことには成功しました。

だんだいさん 67歳 男性