政財界のフィクサー的な老人前嶋が、世界的コンサル会社の日本支社長に
「20~30年後の日本はどうなるのか予測してほしい」と依頼するところから、
この物語は始まります。
担当したのは、
入社15年のベテラン女性津山と入社3年目の若手男性神部のコンビ。
だからといって、珍道中が始まるエンタメ小説ではありません。
3人の「ヤメキャリ」(やめたキャリア=元官僚了)に順次取材を進め、
そのときの対話が延々と続き、なんの事件も起こらず盛り上がりもありません。
しかし、まさに「20~30年後の日本はどうなるのか」を考えるための思考実験で、
「健康寿命」だけでなく「職業寿命」などのキーワードも登場。
そして、現実に存在するさまざまな統計データをもとに議論は進行するため、
このテーマに関心のある人にとっては、一読の価値のある本です。
私も、タイトルからそうした内容を想像し、初めてこの著者の本を手に取りました。
後半では、津山が、同級生の高一の息子の紹介で、彼が心酔する
21歳のベンチャー経営者に、依頼者の前嶋を直接引き合わせるのですが、
これまた延々と対話が100ページ以上続きます。しかし、実はここが本書の白眉。
対話といっても、老人の疑問をことごとく若者が論破し続ける、
まるで一方的なディベートの如し。
こうして遂に前嶋は、将来は若者に託すしかないと悟り、
依頼をキャンセルして物語は終わるのです。
本書で語られるのは、人口減少が避けられない日本の取り組むべき撤退戦。
そんな日本にしてきたのは老いた経営者や政治家たち。
世界の権力者も、国民のためではなく、自分のレガシーづくりばかりに熱心。
いまや時代の変化は激しく、以前の経験知は足枷になることばかり。
かくして老害を無くしていくために、政治家にも定年制を設けて
早く若い人に譲るべきだという考えは、
シンプルながら意外に説得力を感じました。
tomeさん




