小説家志望の人は、意外に少なくないと思いますが、
実は「売れなければ終わり」の修羅の道。
本書ほど(売れない)小説家の大変さを、赤裸々に書いた本は、
寡聞にして知りません。
著者は平山瑞穂。読んだことも聞いたこともない方でしたが、
作家を目指して13年。2004年に36歳にして『ラス・マンチャス通信』で
日本ファンタジーノベル大賞(賞金500万円)を受賞して華々しくデビュー。
会社員のまま兼業作家として、
売れる本を目指し試行錯誤しながら10作ほど発表し続けますが、
ヒットに恵まれず。2011年には一念発起して専業作家になり、
その後も10余の作品を生み出すものの、残念ながら鳴かず飛ばず。
次第に編集者とも疎遠になり、
本を出すことも難しく、ライター稼業でしのぐ状況に。
本書は、小説家志望者に、その失敗経験を生かしてもらうために、
「入口をまちがえてはいけない」「功を焦ってはならない」「作品の設定を怠ってはならない」
「編集者に過度に迎合してはならない」「『編集者受け』を盲信してはならない」
という戒めの言葉で章が構成されています。
アマゾンで作品全体を見渡したところ、どの著書もレビューは少ないのですが、
一番レビューが多かったのが本書。
皮肉なことに、著書でたぶん一番売れている本のようです。
本書は、個々の作品の成立する背景についても詳しく書かれており、
作品ガイドにもなっています。
そのため、作品に興味を持つ人も出てくるはず。
実際「本書で著者を知って、初めて作品を読んだ」というレビューもありました。
私も1冊買って読み始めました。引き込まれる書き出しで、期待十分。
本書がきっかけで、もっと売れるようにならんことを!
tomeさん