1985年に520人が亡くなった航空史上最悪の日航123便墜落事故。
これはボーイング社の修理ミスによる後部圧力隔壁の損壊が原因とされていますが、
それでは説明のつかない問題が多く残され、
むしろ尾翼に異常外力が働いたとする可能性が高いこと、ファントム機2機が
123便を追跡していたとする目撃証言も多数あることなどから、
40年経った今でも、自衛隊による誤射説は、根強く語られています。
誤射説は「陰謀論」だというのが一応通説になっていますが、
経済アナリストの森永卓郎さんは、
逝去前に改めてこの問題を「事件」として積極的に取り上げ、
そこからさらに、アメリカ側に原因を求めた「貸し」を作ったことから、
その後、日本に不利な「プラザ合意」を飲まされ、
「失われた30年」の始まりとなったと、説を「発展」させています。
さすがに、そこまではどうだかわかりませんが、興味をそそられ詳しく知りたくなり、
この「事故」の真相追究を生涯のテーマとしている、
元日航の客室乗務員だった青山透子さんの著作を読んでみた次第です。
この事故で多くの同僚を亡くした彼女は、その後、徹底的にこの問題を調査・取材し続け、
これまでに7冊の著作を上梓しています。
本書は、2冊目の著書で、サブタイトルにある通り、
目撃証言の分析を中心に真相に迫ろうとしています。
緻密に調査・取材し、実証的に「状況証拠」を積み上げているため、説得力があります。
しかし、ブラックボックスやフライトレコーダーの全データが、いまだ公開されておらず、
相模湾に沈んでいる尾翼部分も引き上げられていないため、
決定的証拠に欠けているのが実情なのです。
アマゾンレビューでは本書の評価は高いのですが、
星ひとつの低評価のレビューには、かなり細かい具体的批判・反論も書かれており、
それらを読むと、やはり「陰謀論」なのかとも思っていまい、判断はつきません。
著書も本書で書いている通り、全データの公開や尾翼引き上げなどで、
この問題に決着がつくことを望むばかりです。
tomeさん





