池波正太郎さん(1923-1990)は
昭和を代表する時代小説・歴史小説作家ですが、
たいへんな美食家でもありました。
本書は雑誌「太陽」に連載された
味わい深いエッセー集で、巷に氾濫している
グルメガイドとはまったく異なります。
取り上げられた店は地元の東京が多いものの、
京都・大阪・名古屋・横浜・滋賀・信州や、
さらにフランスにまで及びます。
40年少し前の連載なので店の写真は現在では
変わっている場合も少なくないでしょうが、
ほとんど(すべて?)の店が
現在も存続しているように思います。
いや、むしろ、料理の背景にある豊かな文化や
料理人の人間性から選ばれて著されたものなので、
そのような店は今も存続していて
当然と表現すべきとも思います。
店へのアクセスが難しい読者には追体験ができず
残念な面もありますが、食文化に関する
昭和の記録の一つとしての楽しみ方もあるのでは
ないでしょうか?
ラベンダー・オラフさん 66歳 男性