「報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い」を描いた選挙ノンフィクションです。
“無頼系独立候補”とは、いわゆるメディアがほとんど報じない“泡沫候補”のことですが、
著者が彼らに敬意を表して、こう表現しているのです。
当選する可能性はないのに、高い供託金を払って選挙に立候補するのですから、
そこに人知れぬ思いや狙いがあることは間違いありません。
著者は、そのことに気づき、選挙毎にすべての候補者にひたすら直接取材をして、
その生態を描き続け、本書は、開高健ノンフィクション賞に輝きました
(賞金300万円は、ほとんど取材での借金返済に消えたとか)。
第1部は「マック赤坂という男」。スマイル党総裁として記憶にある方もいるかもしれません。
13回選挙に挑戦して全部落選。実は、本書の出版後、東京都港区議に当選、
文庫版あとがきには触れられています。
第2部は「選挙報道を楽しく変えてみた」。
討論会に「呼ばれない」都知事選候補者の公開討論会を企画、ネットでの生放送に挑戦た記録。
第3部は「都知事選候補 21人組み手」。
2016年の都知事選の全21人の候補者を徹底的に取材しています。
ほとんど選挙専門に取材を続けて20年。著者のその一途な姿勢は、
2023年、本人に密着取材したドキュメンタリー番組『NO 選挙,NO LIFE』として放映され、
映画版も公開されました。
都知事選といえば、2024年は、なんと56人もの候補者が乱立。
掲示板だけでなく、政見放送もジャックされている状態です。
これまでとは異なり、多彩な候補者という枠を超えて、
政治性のかけらもないPRのためだけの候補者が半分近く。
今回も全員に取材するのでしょうか。彼のコメントを聴きたいものです。
tomeさん