2005年発行と多少古い本で、内容も2004年までのことしか書かれていません。
しかし、旧約聖書の昔から説き起こし、
今日のイスラエルとパレスチナ対立の歴史的背景が、わかりやすく描かれています。

なるほどと思ったのは、ユダヤ人・アラブ人・パレスチナ人の違い。
どれも、民族でも人種でもないのです。
簡単に整理すると、ユダヤ教徒がユダヤ人。アラビア語を母国語とするのがアラブ人。
パレスチナ(イスラエル+ガザ地区+ヨルダン川西岸)に
イスラエル建国以前から居住していたのがパレスチナ人。
この分類によれば、ユダヤ人でアラブ人でパレスチナ人という人も出てきます。

そもそも民族の概念は、いい加減なものだから、昔は一緒に平和に暮らしていた人たちを、
民族でグループ分けしようとすることが間違っているという著者の主張は支持できます。

そう考えると、「同一民族同一国家」を志向するナショナリズムのリスクを感じざるを得ません。
これからの時代、やはり、どれだけ異文化・異民族を許容し共存できるかが、
それこそ人類が持続可能かどうかのポイントだと思いを新たにしました。

tomeさん