翻訳家であり、詩人である作者が
「旅」を概念的にとらえ、自然や動植物、
そこに生きる人間と文明と非文明なるものの思考を通し、
自然のなかで人として「生きる」意味の思索の世界を旅する。

太古から人は歩き、移動してきた。

そして、目にしてきた自然への驚異や畏怖を神として崇めた。

自身も旅しながら同じ思考を感じ、自然に身をゆだねる。

月夜に彷徨い歩く孤高の狼のごとく、
移動し続けること、旅をし続けることは、
生命体としての自分の生であり、性であると。

太陽と月に見まもられて生を受け、いのちを食し、
大地の水を飲み、そして同化して土に還ることが、
命を受けたものの旅そのものなのだと気付かされる。

そんな旅をするために旅先で読みたい本である。

Hirakawa Masatoさん 49歳 男性