2024年11月に谷川俊太郎さんは92歳で亡くなられましたが、
本書は、その3年ほど前に行われた俵万智さんとのオンライン対談集です。

本書を手にしたきっかけは、俵さんの『生きる言葉』を読んだことに加え、
「日本語扱いの達人」としての谷川さんに興味があったから。
絵本作家の五味太郎さんに通ずるものを感じます。

中学のころ、石川啄木が好きだったことから、短歌には親しんでいましたが、
谷川さんの詩集を初めて手にしたのは、高校2年のとき。

その頃は、学校図書館の本には、後ろ見返しに貸し出しカードが入っていて、
借りた人が名前を書くようになっていました。
たまたま手にした詩集のカードに、当時好きだった子の名前を発見したことから、
谷川さんの詩に接するようになったのです。忘れもしない思潮社のぶ厚い本でした。

のっけから私事・余談になってしまいましたが、
私にとってそんな2人の対談ですから、やはり気になります。

こうした対談集の魅力のひとつは、本のテーマも然ることながら、
やはり対談者の性格や生活が、かいま見られること。
本書では、2人の個性の違いが際立ち、野次馬的にも楽しめます。
ネタバレ的になりますが、際立つ違いを対比させると、こんな感じ。

 ●谷川俊太郎/詩人        ●俵万智/歌人
 短歌はメロディ(俳句はリズム)    短歌はリズム
 音楽から出発           言葉から出発
 音楽はよく聞く(生活に不可欠)   音楽は聞かない(生活になし)
 音楽で泣く            音楽では泣かない
 機械は好き            (機械は苦手)
 結婚3回             結婚・同棲なし
 昔は喧嘩した           喧嘩しない・怒らない
 ずっと都会暮らし          だんだん田舎に
 濃い人間関係苦手         誰とでもすぐ仲良くなれる
 デタッチメント           アタッチメント

とくに、俵さんは、生活のなかに音楽は、ほぼ存在しないのに対して、
谷川さんは、音楽(クラシック)は空気のような存在で、
それがないと生きていけないというくらい切実
(ちなみに息子さんはジャズ・ピアニストでジャズも少々)。

詩のなかにも「一貫した音楽性がほしい」と言っています。
音楽なくして谷川さんの詩は成立しなかったと言えるのに対し、
音楽と無縁だった俵さんとの違いに、
詩と短歌のスタイルの違い以上に、作家の個性を強く感じました。

tomeさん

言葉の還る場所で : 対談集

言葉の還る場所で : 対談集

谷川, 俊太郎, 1931-, 俵, 万智, 1962- / 春陽堂書店 / 2022/6