『すぐ死ぬんだから』で有名な内牧子氏の作品です。
老いの三部作やら四部作と呼ばれる作品の一つと思われますが、作者の同世代が描かれています。全くのフィクションで実話を元にはされていない、、ちょっと現実からはいろいろな面からかけ離れているような話ですが、とても面白いし老後の参考になると思います。
年金暮らしの70代の男性が主人公です。奥様は熱心に終活をしているのですが、本人は90代の実母もまだまだ元気いっぱいで生きている内に終活などしたくないという考えで奥様の口撃にものらりくらりとかわしていました。
ある日実母が熱中症であっという間にあの世行になって自分も死を身近に感じられ、終活を決意します。
世間がいう終活とは、、資産がどれほどあって誰にいくら遺すか、葬式はどうしてほしいか、などなど遺された者が困らないですむためのもの~『他人軸』ですね。この作品の主人公は、『自分軸』やり残したことをやる。
遺された者が困らないで済むための終活も相当意味があると思いますが、自分が死ぬとき後悔しないように実行するのもそれ以上に意味あるわな~と読み進めるのですが、、
結局、迷惑な終活、、高校時代の憧れのマドンナに悪いことをしたと思い込んでいるので、会って謝る。これが主人公なりの終活。
現実にはマドンナは自分の事など微塵も覚えていてくれなかったし、控えめで清楚だったマドンナも息子の嫁にいじめられまくりで不平不満を口にする世俗にまみれた人物と化していて、、それ以前に覚えてもいない高校時代の同級生と会うなんて迷惑以外の何物でもないとこぼしています。。そこからが、想像もつかない展開で、、主人公若気の至りで浮気していて奥様は知っていて知らないふりをしたという過去があったのですが、この主人公の迷惑な終活のせいで寝た子を起こすという結果になってしまったんですね。。奥様、、結局許せなかった、、離婚まではしなくても半別居という結末を迎えます。。
主人公、目的は達成できて満足かもしれませんが、、
奥様も元不倫相手も嫌な思いをさせて、自分でも想像もつかなかった結末を迎えることに、、
兎に角、展開はほんとに面白い話でした。
老人になって~余計なことはしないほうがよいという教訓でしょうか~(^^;
さくら咲くさん 49歳 女性