失われた連歌の伝統を蘇らせる

かつて日本の文芸の一つとしてあった連歌。
発句に対して、別の句を別の人が、さらにまた別の句を別の歌人が読むという趣向だ。
失われてしまったこの文芸を、90年代当時の一流の二十人の歌人たちがチームに分かれて競うという。
これが岩波新書として刊行され、熱海という舞台が用意されたことからも企画としての力の入り方がわかる。
逆に言えばこの時代には岩波新書としてこういうものが刊行される余地余裕があったことの証左でもある。
連歌という失われた伝統に現代の歌人が挑む様、その対決(チームで対決している)の白熱、そして歌のつながりや解釈への批評を通じた攻撃など、知的な火花が散る。
連歌とその面白さを、現代の歌人たちが、再現再生してくれる。それが存分に楽しめる。

やまなかさん 男性