財務官を務め「ミスター円」と呼ばれた榊原英資氏が、
龍馬を中心とする幕末・明治維新の歴史の通説に
メスをいれた刺激的な本です。
多くの参考文献を渉猟し、それらを立体的に組み上げ、
歴史は常に勝者(本書では薩長)によって書かれる
という立場から、また司馬遼太郎氏の小説が事実と
受け入られてしまっているという立場から、
警鐘を再三鳴らしているのが印象的です。
端的には、
龍馬は商人で佐幕開国とも表現されています。
榊原氏の歴史に対する造詣の深さから、密度の高い
文章となっているため、歴史の知識が浅い読者
(自分を含めて)には難解であることは否めませんが、
これまで多くの日本人が抱いてきた幕末・明治維新論に
新たなスポットを当ててくれる貴重な書であることは
間違いありません。
ラベンダー・オラフさん 67歳 男性