本書は、40代だった塩野七生さんが
『花椿』(資生堂の企業文化誌)に連載した
エッセーをまとめたものですので、
大部分は「議論」とは無縁です。
ただし、その第28章だけは
魂を揺さぶるような極めつきの「議論」論です。
中でも最も印象的な段落の書き出しは
以下のとおりです。
つい先日、あるところで開かれた
国際シンポジウムを聴く機会があった。外国人出席者の中には、
元合衆国大統領補佐官のブレジンスキーと、
前のカナダ首相だったトリュドーがいた。基調講演をしたのはブレジンスキーで、
いかにも彼らしく、ソ連とアメリカの対立関係と
それに関する日本の立場と役割について、
長々とタカ派調の演説をぶったものだ。ところが、それを受けて話したトリュドーは、・・・
この先は、実際に読まれてのお楽しみと
させていただきましょう。
単なる技術としてでなく
生き方にも根ざす希有の「議論」論として
お薦めします。
ラベンダー・オラフ 66歳 男性