ポール・オースター著『最後の物たちの国で」は、あった筈のものが次々となくなっていってしまう不条理な国に、意を決して入っていく話。意識して覚悟して入って行ったのに、どうしても出ることができないし、そもそもなぜ出なければならないのか、誰を訪ねてここへ来たのかまで曖昧になっていく話。認知症になりたての感覚は、こんなものなのだろうかと想像する。そしてあまりの恐怖感に、認知症の人への関わりはもっと親切でなければならないと思い直す。

poohさん 56歳 男性