カメラが寄ったら引いたり

富坂キリスト教センター編の『戦後日本とキリスト教』読了。敬愛する大久保牧師、福山牧師、渡邉牧師、戒能牧師の書かれた文章が載っているので、手に取ったが、手に取ってよかった。キリスト教が大きなブームとなった、歴史的に見て稀有な時代。それが敗戦直後の時期だ。だがそこにもさまざまな思惑があり歴史がある。離れた距離で見ていては気づけない、小さいけれども大切なエピソードから、その時代の空気まで蘇らせた力作。戦後キリスト教ブームがあったことは聞いていた。先進戦勝国の宗教への憧れがあったと聞いていたがやはりそれだけのことではなかった。カメラワークのように引いて俯瞰するばかりではなく、そこにあった苦労や矛盾、宿題を解きほぐした力作。

poohさん 56歳 男性