とにかく強烈な本です。著者は関大徹という禅僧で、
書名は、なんと『食えなんだら食うな』。
全12パートからなり、書名と同じ「食えなんだら食うな」から始まり、
その後、「病いなんて死ねば治る」「自殺するなんて威張るな」「地震ぐらいで驚くな」
「死ねなんだら死ぬな」といったスゴイ見出しが並びます。

要は、誰もがいずれ死ぬという自明の理を心得ていれば、
病いも地震も何も恐れることはないという生き方を説いています。

1978年に書かれた本で、著者は1985年に亡くなっていますが、
1991年の他社の文庫版も絶版となり、2018年に再復刊。

「ガキは大いに叩いてやれ」「家事嫌いの女など叩き出せ」といった、
多少時代に合いにくい部分もありますが、
大半のメッセージは、時代を越えて響くものがあります。

著者も強烈なら、復刊本の巻末に収録された実業家・著述家の
執行草舟(しぎょう・そうしゅう)氏の解題は、もっと強烈。
ちょっと長いですが、一部を引用しておきます。

「禅と武士道を愛する私は、その方面の本だけで優に三千冊は読んでいる。・・・
しかし、最後の最後で、いつでも本当の力を与えてくれた本は、本書なのだ。
関大徹の声である。その一喝によってすべてを決めることができた。
そして、何よりも、すべてに耐えることが出来たのだ。」

「『病など死ねば治る』という老師の言葉に出合い、
私は脳髄を引きずり出されるほどの衝撃を受けた。
死ぬ気で生きているつもりであった。それが何たることか、
病などで弱気になっている自己を発見したのだ。

『死ねば治る』。そこに無限の生命的な愛を私は感じた。
『よし!死ぬまで生きれば良いのだ』、私はそう思った。
そしてその日から病は嘘のように快方に向かったのだ。
この体験以来、40年以上にわたって、本書は私の座右の書なのだ。・・・
だからこの本は、死ぬ気で読んでほしいのだ。すべてを信じて読んでほしいのだ。
つまり、本書自体を食らうのである。自分の肉体に、この本を打ち込んでほしい。」

こんな強烈な解題・解説を私は読んだことがありません。
この人の本も読んでみたくなりました。
なにせ「私は死ぬほど読書をして来た。
それが私の唯一の誇りである。他に誇るものは何もない。
こと読書に関しては古今東西の名作で読んでいないものは無い。
そう言い切れるほど読んだ。私は読書そのものに命をかけているのだ」
とも書いている人なのです。スゴ過ぎます。

tomeさん