きっかけは同名の映画を観たことでした。高良健吾が演じる横道世之助の大学生活を観ていると、自分のだらけきった学生生活も案外悪くないと思えました。

それからなんとなく主人公・世之助が忘れられなくて原作を手に取りました。そこで気づいたのですが、この主人公あまりに平凡過ぎるのです。お人好しのわりに図々しい、デリカシーないくせに憎めない、よくも悪くも平和ボケしているのです。一方、周囲の友人は恋に仕事に家族の事情と四苦八苦、物語の主人公としてはこっちの方がよっぽど正統派なんじゃないの?

どうして世之助が主人公なのか、大学を卒業し、社会人になったいまならわかる気がします。結局、私の脳内にはあのときの世之助が図々しくも居座り続け、これから先も忘れることはできないようです。

むじなさん 29歳 男性