川上未映子さんの本を読んだ。『ヘヴン』はいじめの話で、『すべての真夜中の恋人たち』は恋愛小説、そして『乳と卵』はシングルマザーが幼い娘と東京に住む妹のアパートに、所望で三日間過ごしにくる話だ。
『乳と卵』は芥川賞受賞作で、文章が大正の文豪のようにあしらわれている。
私はこの『乳と卵』に併録されている「あなたたちの恋愛は瀕死」がとても気に入った。作品が気に入るかどうかは、その人のその時の状況や気分に影響されるものであろうから、他の作品がどうこうと言うのでは勿論なくて、『ヘヴン』は芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞しているし、『すべての真夜中の恋人たち』はせつなくて心が痛くなるほどだ。
「あなたたちの恋愛は瀕死」はある女性の心情をあからさまに描いていて、男性の私には知り得ないことが短編ながらてんこ盛りになっているようだ。当然フィクションであり、コミカルに描いているのだろうが、ごちゃごちゃした新宿や満員電車の中の様子は非常にリアルであり、女性は男性とはこんなにも異なるものなのか、と興味深かったです。
みーちゃんさん 56歳 男性