「働かない二人」(吉田覚:新潮社)を12巻まで読み終えました。
物語は所謂、ニートである主人公の二人の兄妹、石井守と妹の春子。
二人を取り巻く少し(というか、かなり風変わりな)人間模様を
描いたコメディマンガです。
しかし、この物語は「いつだって戦力外宣言!!」という
キャッチフレーズにあるように、ニートである「働かない二人」を通して、
今の社会に何処かしかある「社会の戦力たれ!」と云うような
無言のメッセージに本当に少しだけですが「?」を突きつける
絶妙なニュアンスが良質な笑いとして描かれています。
実際に、実はしっかりとした考え方を持つ兄の守と、
彼と二人でゲームをしている時が一番幸せな妹の春子。
そんな二人に「働け!!」と何時も正論な突っ込み入れるお母さんと、
何処か抜けてるけど、家族思いで一家の大黒柱で守の事を信頼している父親。
何だかんだ言っても、この家族はとても、幸せそうです。
そして、この二人を見て、
始めのうちは腹が立つけど何故か癒されてる周りの人達。
僕も「しょうがねーな。この二人(苦笑)」とか思いながら、
何故かこの漫画を読んで何度もクスクスと笑っている自分に気が付きました。
この作品は、働く事は勿論大事ですが、それと同じくらいに、
同調圧力に伴う競争だけでは無く、マイペースで
自分らしくある事も同じくらいに重要なんだな。
という事を「あくまで控えめに」に読者に気付かせてくれる良作だと思います。
AKさん 41歳 男性