悪名高いアウシュヴィッツへの中継地点で
あったテレジンで、親元から引き剥がされた
子供達の酷い生活と、監視の目を盗んで
絵や詩を創作した事実が記録されています。

名前ではなく番号で呼ばれ、罵声を浴びせられ、
食事もろくに与えられずに過酷な労働をさせられる。

そんな絶望の中で一人の女性画家が
絵を描く事を教え子供達に唯一の希望を
見出させた事に強く胸を打たれました。

初めてこの本を読んだのは小学生の頃でしたが、
具のほとんど入っていないスープの鍋底に残った
僅かな具材である腐ったジャガイモを食べたくて
わざと後ろの方に並んだ話、

殺されるかもしれない危険を犯して体調の悪い友人に
一つだけ盗んだトマトを、自分も食べたくて
たまらないのを我慢して食べさせた話が
特に印象に残ったのを覚えています。

大人になって読み返して、どんな状況でも
芸術は人々の癒しになるのだという事。

そして争いの犠牲になるのは
弱者である事を改めて感じさせられました。

今では教科書にも掲載されているようですね。

とても読みやすく書かれているので、
子供も含め多くの人に読んで欲しい一冊です。

やみさん 33歳 女性