伝説の俳優マーロン・ブランドの自伝。ブランドが語るのをロバート・リンゼイが文章化したらしく、共作になっている。

マーロン・ブランドは当時ステラ・アドラー女史が提唱した演技法、いわゆるメソッドを最初に世に知らしめた名優。アドラーはニューヨークのアクターズ・スタジオで講師をしていて、その後ポール・ニューマンやアル・パチーノやロバート・デ・ニーロ等を輩出した。

スキャンダルも多かったので、そちらの方面に興味がある方もいると思いますが、ブランドの考えでその点についての記述は殆んど無い。あるのはアル中だった両親や、姉を頼りに俳優を志して行ったニューヨークでの生活、その後の映画俳優としての成功の裏での心境や、ネイティブ・アメリカンとの関係、食糧危機にある人々への多額の寄付。その他、友人たちとの楽しいエピソードなど盛り沢山。天才的なユーモアのセンスのある人なのだ。

自身の作品への評価は世間一般のものとは異なり、『ラスト・タンゴ・イン・パリ』などの大ヒット作を過大評価と言い、社会派の映画『ケマダの戦い』をとても高く評価している。『欲望という名の電車』のスタンリー役を自分のアンチテーゼだと言い、『ゴッドファーザー』を観て「自分の悪い部分が出た」と言う人なのです。

みーちゃんさん 55歳 男性